「私、ブヨに好かれる体質なんだよね…」と虫刺されの跡だらけになっている人が、嘆くことがありますが、ブヨに好かれる体質は本当にあるのでしょうか?まずよく聞くのが、「血が甘いから刺されやすい」という説。これは残念ながら科学的な根拠はありません。ブヨを含む吸血昆虫は、血の甘さや美味しさでターゲットを選んでいるわけではありません。彼らが頼りにしているのは、もっと別の情報です。では、「汗っかきな人は刺されやすい」というのはどうでしょうか。これは、ある程度真実味があります。ブヨは汗に含まれる乳酸やアミノ酸などの化学物質を感知して寄ってきます。そのため、汗をかきやすい人や、運動後で汗をたくさんかいている状態の人は、ブヨにとって発見しやすく、魅力的なターゲットになり得るのです。「体温が高い人も刺されやすい」というのも、科学的に裏付けられています。ブヨは温度を感知する能力があり、体温が高い恒温動物を探し出して吸血します。子供や妊婦さん、運動後の人、飲酒した人などが刺されやすいと言われるのは、体温が比較的高いためと考えられます。次に、「血液型O型の人は刺されやすい」という噂。これは蚊の研究で、O型の人が他の血液型の人よりも刺されやすい傾向があるという報告が存在します。その理由は、血液型物質が汗や皮膚表面に分泌される量と関連があるのではないかと言われていますが、まだ完全には解明されていません。ブヨに関しても同様の傾向があるかどうかは、現時点では不明確です。最後に、「お酒を飲むと刺されやすい」という話。これも一理あります。アルコールを摂取すると、代謝によって二酸化炭素の排出量が増え、皮膚血管が拡張して体表面温度が上昇します。これらの変化が、ブヨを誘引する要因となっている可能性があります。このように見ていくと、「体質」と呼ばれるものの中には、汗の量や体温、代謝など、確かにブヨを引き寄せやすい要因が含まれていることがわかります。しかし、それだけが全てではありません。その日の服装の色(暗い色はNG)、活動量(二酸化炭素排出量)、虫除け剤の使用の有無といった、体質以外の要因も大きく影響します。「自分は刺されやすい体質だから仕方ない」と諦めるのではなく、これらの誘引要因を理解し、服装や行動、虫除け対策などでカバーすることが、ブヨ被害を最小限に抑えるためには非常に重要です。
ブヨに好かれる体質?噂の真相に迫る