家の中で、壁や床を這う、足がたくさんある虫に遭遇し、思わず声を上げてしまった経験はありませんか。その異様な見た目から、不快感や恐怖心を抱く人も少なくないでしょう。しかし、これらの虫が一体何者なのか、その正体を知ることで、少し冷静に対処できるようになるかもしれません。日本の家屋でよく見かける「足がたくさんある虫」の代表格は、主にヤスデ、ゲジ(ゲジゲジ)、ムカデの三種類です。まずヤスデですが、細長い筒状の体をしており、たくさんの短い足が体の下側に密集して生えています。動きは比較的ゆっくりで、刺激を受けると体を丸めて防御姿勢をとることが多いです。色は黒っぽいものや茶色っぽいものが一般的です。ヤスデは腐った植物質(落ち葉や朽木など)を食べるため、庭や家の周りの湿った場所に生息しており、そこから屋内に侵入してくることがあります。人を咬んだり刺したりすることはなく、基本的には無害な虫ですが、大量発生すると不快害虫とされます。次にゲジ(ゲジゲジ)です。正式名称はゲジですが、一般的にはゲジゲジと呼ばれることが多いです。非常に細長くたくさんの足を持ち、その足が体よりもずっと長いのが特徴です。動きは極めて素早く、壁などを高速で移動します。見た目のインパクトが強いため、多くの人に嫌われがちですが、実はゴキブリや他の小さな虫を捕食してくれる益虫としての側面を持っています。ゲジも人を積極的に襲うことはなく、毒性もほとんどありません。最後にムカデです。平たい体をしており、各体節から一対ずつ足が生えています。ヤスデよりも足の数は少ないですが、一本一本がしっかりとしています。動きは素早く、攻撃的な性格を持つ種類もいます。ムカデは顎に毒を持っており、咬まれると激しい痛みや腫れを引き起こすため、注意が必要です。特に大型のトビズムカデなどは危険度が高いです。これらの虫は、それぞれ見た目や生態、危険性が異なります。家の中で足がたくさんある虫を見かけたら、まずは慌てずにその特徴を観察し、どの種類なのかを見極めることが、適切な対処への第一歩となります。