蜂の活動時間は、一日の光のサイクルだけでなく、その時々の「気温」と「天候」によっても大きく左右されます。これらの外的要因が、彼らの活動レベルや行動範囲を決定づけているのです。この関係性を理解すれば、蜂との遭遇リスクをより正確に予測することができます。まず、最も大きな影響を与えるのが「気温」です。蜂は変温動物であり、活動するためには体温を一定以上に保つ必要があります。筋肉を動かして飛翔するためには、十分な熱エネルギーが不可欠なのです。一般的に、蜂が活発に活動を始めるのは、気温が15度を超えたあたりからです。20度から30度くらいが、彼らにとって最も快適で、活動がピークに達する温度帯と言えるでしょう。逆に、気温が10度を下回るようになると、多くの蜂は活動を停止し、巣の中でじっとしてエネルギーを温存します。真夏日など、気温が35度を超えるような極端な高温下では、人間と同様に蜂も活動が鈍ることがあります。次に「天候」の影響です。蜂は、雨の日にはほとんど活動しません。雨粒が体に当たると飛行の妨げになるだけでなく、体温が奪われてしまうからです。雨が降り始めると、外にいた働き蜂は急いで巣に戻り、雨が止むまで巣の中で待機します。したがって、雨の日に屋外で蜂に遭遇する可能性は、極めて低いと言えます。また、風の強い日も活動が制限されます。強風は飛行を不安定にし、体力を消耗させるため、蜂は巣からあまり遠くへは飛び立とうとしません。曇りの日も、晴天時に比べて活動はやや不活発になります。太陽光が少ないと、気温が上がりにくいことに加え、彼らが道標とする太陽の位置が分かりにくくなることも影響していると考えられています。これらのことから、蜂に遭遇するリスクが最も高いのは「暖かく、よく晴れた、風のない日」ということになります。逆に、肌寒く、雨や風が強い日は、比較的安全に行動できると言えるでしょう。天気予報を確認することは、その日の蜂の活動レベルを予測するための有効な手段なのです。