夏になると私たちを悩ませる吸血昆虫や有毒昆虫。中でも、虻(アブ)、蜂(ハチ)、蚊(カ)は、野外で遭遇する機会が多く、時には混同されることもあります。しかし、これらは生態も危険性も異なるため、正しく見分け、適切な対処法を知っておくことが重要です。まず、虻ですが、ハエに近い仲間で、比較的ずんぐりした体型をしています。代表的なウシアブなどは大型で、羽音も大きく、しつこく追いかけてくるのが特徴です。虻のメスは皮膚を切り裂いて吸血するため、咬まれた瞬間に鋭い痛みを感じ、出血することもあります。傷口から細菌が感染しやすく、腫れや痒みが長引くことも。毒性は低いですが、痛みと不快感は強いと言えます。次に、蜂です。ミツバチ、アシナガバチ、スズメバチなど多くの種類がいます。体は虻よりもスマートで、腰がくびれている種類が多いのが特徴です。蜂の危険性は、その毒針にあります。特にスズメバチの毒は強力で、刺されると激しい痛みと腫れを引き起こし、体質によってはアナフィラキシーショックという命に関わる重篤なアレルギー反応を起こす可能性があります。蜂は基本的に巣や自身を守るために攻撃してくるため、巣に近づかない、蜂を刺激しないことが最も重要です。最後に、蚊です。細長い体と脚、そして特徴的な針のような口吻を持っています。吸血するのはメスだけで、産卵のために血を吸います。刺されても痛みはほとんど感じませんが、後から強い痒みに襲われます。蚊の最も厄介な点は、日本脳炎やデング熱といった感染症を媒介する可能性があることです。近年では、海外から侵入した感染症を媒介する蚊も問題となっています。見分け方のポイントとしては、体型(虻はずんぐり、蜂はスマート、蚊は細長い)、飛び方(虻はしつこく追う、蜂は直線的、蚊はふわりと飛ぶ)、そして攻撃方法(虻は咬みつく、蜂は刺す、蚊は刺す)などが挙げられます。これらの虫に遭遇した場合の対処法も異なります。虻や蚊に対しては虫除け剤がある程度有効ですが、蜂に対しては効果が薄く、とにかく刺激しないことが最優先です。刺された(咬まれた)後の処置も、虻は洗浄と冷却、抗ヒスタミン軟膏、蜂は毒針が残っていれば抜き、洗浄・冷却(アンモニアは効果なし)、蚊は痒み止め軟膏が基本となります。ただし、蜂に刺されて体調に異変を感じた場合は、迷わず医療機関を受診してください。
虻蜂蚊似ているようで違う危険な虫たち