ハッカ油はスズメバチを寄せる」という都市伝説めいた噂。これを確かめるには、実際に試してみるしかないのでしょうか。過去のいくつかの観察記録やアマチュア研究家の報告などを紐解くと、その興味深い、そして恐ろしい結果が見えてきます。ある観察では、安全を確保した上で、スズメバチが好む樹液が出ている木を観察ポイントに設定しました。まず、何もしていない状態の木には、数匹のオオスズメバチが静かに樹液を舐めに来ていました。次に、その木の少し離れた場所に、ハッカ油を染み込ませたコットンを置きました。すると、驚くべきことに、最初は樹液に夢中だったスズメバチたちのうち数匹が、明らかに落ち着きをなくし、羽を震わせながら周囲を飛び回り始めたのです。そして、そのうちの一匹が、ハッカ油のコットンに向かって、偵察するかのように近づいてきました。誘引されている、というよりは、「なんだこの匂いは?」「敵か?」と、警戒しながら匂いの元を探っている、という印象だったと報告されています。さらに、別の報告では、より直接的な実験が行われました。捕獲したスズメバチを入れた飼育ケースの近くで、ハッカ油を霧吹きで噴射したところ、それまで比較的おとなしかったスズメバチが、突然ケースの中で激しく暴れだし、壁に体当たりを繰り返すようになったというのです。これは、ハッカ油の成分が、スズメバチを明らかに興奮・錯乱状態にさせたことを示唆しています。これらの観察事例から推測できるのは、ハッカ油はスズメバチにとって「好物」として誘引するわけではなく、「不快な刺激物」あるいは「危険信号」として認識され、結果的に警戒行動や威嚇行動を引き起こし、匂いの元へ「確認しに寄ってくる」という現象を引き起こすのではないか、ということです。餌に寄ってくるのとは全く質の違う、危険な「寄ってくる」現象と言えるでしょう。これらの報告は、私たちに重要な警告を与えてくれます。興味本位でハッカ油をスズメバチに近づける行為が、いかに危険な結果を招く可能性があるか、ということを。
実験!ハッカ油にスズメバチは本当に寄ってくるのか?