夏の野外活動で悩まされる吸血昆虫といえば、蚊とブヨ(ブユ)が代表的です。どちらも痒みを引き起こしますが、ブヨは蚊と違って皮膚を注射針のような口吻で刺すのではなく、小さな顎で皮膚を噛み切り、流れ出た血を吸います。そのため、刺された後の症状がより強く、長引く傾向があります。このブヨの攻撃から身を守るためには、服装選びが非常に重要なポイントになります。蚊の対策と同じように考えていると、思わぬ被害に遭うかもしれません。まず、絶対に避けたいのが肌の露出です。半袖、半ズボン、サンダルといった服装は、ブヨに「どうぞ吸ってください」と言っているようなものです。特にブヨは低い場所を飛ぶことが多いため、足首周りは集中的に狙われやすい部位です。必ず長袖、長ズボンを着用し、靴下と靴で足元をしっかりとガードしましょう。次に重要なのが、服の色です。ブヨは視覚を使ってターゲットを探しており、特に黒や紺、濃いグレーといった暗い色に強く引き寄せられる習性があります。逆に、白や黄色、オレンジ、ピンクなどの明るい色は、ブヨにとって認識しにくい、あるいは避ける傾向があると言われています。したがって、野外活動の際は、できるだけ明るい色の服装を選ぶことが、刺されるリスクを減らす上で効果的です。素材選びもポイントです。ブヨは皮膚を噛み切る力を持っているため、蚊なら防げるような薄手の生地、例えばストッキングなどは簡単に貫通してしまいます。できるだけ厚手で、織り目が細かく、丈夫な生地の服を選びましょう。デニムやチノパン、目の詰まったアウトドア用のウェアなどが適しています。さらに、服と肌の隙間をなくす工夫も大切です。シャツの裾はズボンの中に入れ、袖口やズボンの裾が絞れるタイプのデザインを選ぶと、衣服内への侵入を防ぐことができます。首元を守るために襟付きのシャツやネックカバー、頭部を守るために帽子を着用することも推奨されます。アームカバーなどを活用するのも良いでしょう。このように、ブヨ対策においては、単に肌を覆うだけでなく、色、素材、形状、そして着こなし方まで考慮することが重要です。行く場所や時間帯に合わせて適切な服装を選び、虫除け剤と併用することで、ブヨの被害を大幅に減らすことができるはずです。