雨が降った後、庭やベランダ、時には家の中まで姿を現すヌメヌメとした生き物、蛞蝓(ナメクジ)。その独特の見た目や粘液から、多くの人に嫌われている存在ですが、彼らは一体何者で、なぜ雨上がりに活発になるのでしょうか。今回は、身近ながら意外と知らない蛞蝓の生態に迫ります。蛞蝓は、陸上に生息する巻貝の仲間で、貝殻が退化、あるいは完全に消失したものの総称です。カタツムリと非常に近縁な関係にあります。体が柔らかく、乾燥に非常に弱いのが最大の特徴です。体表は粘液で覆われており、これによって体の水分蒸発を防ぎ、また移動を助けています。あのヌメヌメとした粘液は、蛞蝓が生きていく上で欠かせないものなのです。乾燥に弱い彼らにとって、雨上がりは絶好の活動時間となります。湿度が高く、地面や植物の表面が濡れているため、体からの水分蒸発を抑えながら広範囲に移動することができます。夜行性であることも多く、日中の暑さや乾燥を避け、夜間や雨上がりの涼しく湿った時間帯に餌を探しに出かけるのです。では、蛞蝓は何を食べているのでしょうか。彼らは主に植物の葉や新芽、花、野菜、果物などを食べます。特に柔らかい部分を好むため、ガーデニングや家庭菜園をされている方にとっては、作物を食い荒らす厄介な害虫となります。キノコ類や藻類、時には動物の死骸などを食べる雑食性の種類もいます。日本でよく見かける蛞蝓としては、チャコウラナメクジやノハラナメクジなどが挙げられます。種類によって大きさや色、生態も少しずつ異なります。彼らは雌雄同体(一つの個体が雄と雌の生殖器官を持つ)であり、二匹いれば互いに受精しあって産卵することができます。条件が良ければ、驚くほどの速さで繁殖することもあります。蛞蝓の生態を知ることは、効果的な対策を考える上でも重要です。なぜ雨上がりに現れるのか、何を好むのかを理解することで、彼らとの上手な付き合い方や、被害を最小限に抑える方法が見えてくるはずです。
雨上がりの庭に現れる蛞蝓の謎