蜂の活動時間は、一年を通じて一定ではありません。季節の移り変わりと共に、彼らの生活サイクルや巣の状態が変化し、それに伴って活動時間や行動パターンも大きく変わっていきます。季節ごとの特徴を把握することは、年間を通じた蜂対策の基本となります。まず「春(4〜6月)」です。冬眠から目覚めた女王蜂が、単独で巣作りを始める季節です。この時期は、女王蜂一匹だけが日中に活動します。巣作りや最初の幼虫の世話に専念しているため、攻撃性は低く、活動範囲もまだ限定的です。しかし、この時期に家の周りで頻繁に大きな蜂を見かける場合は、近くに巣作りが始まっているサインかもしれません。次に「夏(7〜8月)」です。働き蜂が次々と羽化し、巣が急速に拡大していく時期です。働き蜂たちは、日の出から日没まで、餌集めや巣の材料集めに奔走します。気温が高いため、活動時間は一日の中で最も長くなり、非常に活発です。巣の防衛本能も芽生え始め、巣に近づくと威嚇してくるようになります。蜂との遭遇率がぐっと高まる季節です。そして、最も注意が必要なのが「秋(9〜10月)」です。巣は最盛期を迎え、働き蜂の数はピークに達します。この時期は、次世代の女王蜂を育てるための重要な時期であり、巣全体が極めて神経質かつ攻撃的になります。餌が少なくなるため、食べ物を求めて人家の近くまで飛んでくることも増えます。わずかな刺激で集団攻撃に発展する可能性が最も高い、一年で最も危険な季節です。最後に「冬(11月〜3月)」です。新しい女王蜂は越冬のために木の洞などで単独で眠りにつきます。古い女王蜂や働き蜂、オス蜂は寒さとともに寿命を終え、巣は空になります。そのため、冬の間に蜂が活動している姿を見ることは、ほとんどありません。このように、蜂の活動は季節ごとにその様相を大きく変えます。特に、夏から秋にかけては活動が活発化し、危険度が増すことを常に念頭に置いておく必要があります。
季節別に見る蜂の活動時間の変化